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2009-11-08【与太話】

蛍石レンズは曇る(濁る)のか? 19:33 蛍石レンズは曇る(濁る)のか? - syoushowのネタ帳 を含むブックマーク

10/29から引きずってたネタですが、うぃっきー さんの「蛍石レンズ」の項には 一般的な性質の如くにサラっと「潮解による曇りが生じやすい」と書かれるのみで、詳細や根拠・ネタ元については不明です。

フッ化カルシウムの性質(水に難溶)からイメージし難い現象ですし、天然の蛍石にて「野外で50年ぐらい雨ざらしになった蛍石を拾うことがありますが、意外と面を保ったままです。(ry」とのお言葉も。


もしも、蛍石であるが故に 実際に曇る/濁るとしたら???

1)物理的な磨耗

 比較的柔らかい結晶ですので、最前面に使えば長期の使用では当然の帰結でしょうか。でも、そんな設計しませんよねぇ?。(追記:野戦を考えないレンズでは在るそうです)

2)汚れの付着

 環境によるものでしょうし、蛍石故に付着し易い?なんてあるんかしら??。

3)化学反応

 濃硫酸と反応してフッ化水素云々は基礎知識ですが、レンズと接触させる機会も少ないでしょう。加水分解酸素による酸化などは無いことも無いですが、クリティカルな条件下のようで。常温・常圧の大気中ではn(ry

4)へき開でクラッシュ

 これも無いでは無さそうですが、表面の曇りなんてカワイイ物では済まんでしょう。おまけに経時変化ではなくて、衝撃とか欠陥とか???。

硫酸との反応は例外?として、他の酸に対しては「徐々に塩酸に溶く」との時代がかった表現のみ発見。

http://www.ne.jp/asahi/lapis/fluorite/essay/fav/andou/anndou3.html


で、一般撮影用のレンズに蛍石といえば観音さんです。最初の商品 FL-F300mm F5.6の発売から40年が経過しますが、その後の一連のレンズを含めて曇り易いとの風評は見つけられませんでした。

代わりに散見されるのはステッパー用の光学レンズの話しで、使ううちに曇る/濁ることは確かにあるようです。これとてエキシマレーザーに曝され続けるような過酷な環境故ですし、他に代わる硝材も少ない世界ですので何だかなぁとh(ry

※少なくとも「潮解」とか「吸湿」からイメージされる脆弱さは、伝言ゲーム?レベルの都市伝説と思われ(ぉ

<脱線>リソグラフィ向け光学材料としての蛍石 20:04 <脱線>リソグラフィ向け光学材料としての蛍石 - syoushowのネタ帳 を含むブックマーク

年々短波長化するレーザー光源に対して、より高い耐久性(経時で濁り難い)とレンズ等への加工性を両立する苦労が偲ばれます。ざっと流し読みした下記の特許等々は、、、

◆特開平10-203899

【発明の名称】アルカリ土類金属不純物の少ない蛍石及びその製造方法/Nikon

【課題】 蛍石にArFエキシマレーザー光、γ線などの高エネルギーの光子、粒子が照射されるとカラーセンターが生じて透過率が低下してしまう。

【解決手段】 アルカリ土類金属不純物の濃度の合計が1E18 atom/cm3 以下、より好ましくはアルカリ土類金属不純物のうち、ストロンチウムの濃度が1E18 atom/cm3 以下である蛍石を提供する。(単結晶インゴット中の不純物の濃度分布を利用して、結晶成長を複数回繰り返すことで精製)


◆特開平11-60382

【発明の名称】蛍石単結晶、およびこれを用いた光リソグラフィー装置/Nikon

【課題】 蛍石単結晶のインゴットの段階で割れが発生しやすく、また成形や研磨など加工工程でのクラックによる破損や、破片による傷も生じやすいという課題が存在した。

【解決手段】 含有するナトリウム濃度を0.02ppm以下、および含有するストロンチウム濃度を20~400ppmとした蛍石単結晶であることにより、透過性光学素子へ加工が可能であり、この透過性光学素子がArFエキシマレーザを光源とした光学系に使用可能な蛍石単結晶を提供する。

……力技(正攻法?)で精製した後に、SrF2添加調整


◆特開平11-240787(登録済み)

【発明の名称】蛍石の製造方法及び光リソグラフィー用の蛍石Nikon

【課題】 複屈折が充分に小さくて、光リソグラフィーにおける光学系に使用可能な蛍石単結晶が得られ、特に波長250nm以下の光リソグラフィーに使用可能な大口径(φ230mm以上)で光学特性が良好な蛍石単結晶が得られる蛍石単結晶の製造方法を提供すること。

【解決手段】 熱処理の最高温度を1020~1150℃の範囲にある所定温度(第1温度)として所定時間保持し、かつ前記所定温度(第1温度)より600~800℃の範囲(またはその近辺)にある所定温度(第2温度)までの冷却速度を1.2℃/時間以下として、或いは前記所定温度(第1温度)より700~900℃の範囲(またはその近辺)にある所定温度(第2温度)までの冷却速度を1.2℃/時間以下として、蛍石単結晶を熱処理することにより、光学特性を向上させた蛍石単結晶を製造する方法。

……屈折率差△nが2×10^-6 以下で且つ、複屈折の値が極小:類似特許複数


◆特開平11-079880(登録済み)

【発明の名称】大口径蛍石の製造装置および製造方法/Nikon

……温度分布↓で、部分的な過冷却/多結晶化を抑制する製造装置


◆特開平11-060383(登録済み)

【発明の名称】蛍石単結晶の製造装置

……真空漏れの少ない製造装置


◆特開2005-145727(登録済み)

【発明の名称】蛍石のにごり除去方法

【課題】 蛍石中に存在するにごりを低減或いは除去することができる方法を提供する。

【解決手段】 蛍石素材10を気密熱処理炉15内に収容して、気密熱処理炉15内の気体を排気し、気密熱処理炉15内の圧力が所望圧力以下に到達後、排気を終了し、排気終了時T1より後に昇温を開始して熱処理を行う方法であって、昇温開始時T2の気密熱処理炉15内の圧力を1Pa以下にすることにより、昇温開始後に蛍石素材10中の酸素蛍石素材10の外部へ拡散させるようにした。

……本文中の濁りの原因に対する考察?が詳しい


※評価は対象波長の光に対する透過率なので、曇り/濁りが可視光領域にまで及ぶか判らないのが珠に瑕

<再脱線>真空紫外光学部材用合成石英ガラス 20:25 <再脱線>真空紫外光学部材用合成石英ガラス - syoushowのネタ帳 を含むブックマーク

既に証拠隠滅ずみですが不用意に「ArFクラスになると合成石英ガラスの出番が激減(ry」なんて書いてしまったところ、某所からそんな単純な話じゃねぇぞコラ!とお叱りを受けてしまいました(恥;。

元はと言えばゼイスさんの数年前の古い宣伝文句「照明波長の193nmは石英ガラスの透過率限界に近いため、CaF2(フッ化カルシウム)を用いたレンズが使用されています。」を鵜呑みにしたのが原因ですが、自分の石英ガラスに対する不明を正す目的でざっと調べてみますた

 1)石英ガラスの光学バンドギャップは約8~9eVであり、本来 145nm程度までは透過性あり

 2)従来型の量産品が 193nm光に向かないのは、スペックの設定と生産技術の問題

 3)193nm向けと思しき石英ガラスまでは、一般向けのカタログに載ってました

 4)機械加工性、対薬品性、物理的耐久性では蛍石に勝るので、適材適所で使い分けるのみ


実際に ArF(193nm)プロセスでは、合成石英ガラスレンズと蛍石レンズは併用されてきた模様です(大径部は石英ガラス、小径高出力部は蛍石、etc.)。

さらに不純物と構造欠陥を減らして 157~180nm光を透過し且つ、F2レーザ(157nm)用光学部材として十分な耐光性をもった真空紫外光学部材用石英ガラスも開発済みとのこと(実際に生産・販売されてるか?は不明)。プロセスの短波長化が先送りになったのも、石英ガラスレンズの延命になってるカモです。


※走り出した ArF液浸プロセスは「超純水」浸漬らしいんですが、最前面がどうなってんのか気になります

doubletdoublet 2009/11/08 23:04 たしかに、潮解するような光学材料ではないです。
結晶性の分光分析用窓材料としては、かなり丈夫な方です。
塩化ナトリウムでも、適正に扱えば曇らず持ちますしね。
ただし、溶解度が 15mg/l もあるらしく、水に長時間漬けておいたら表面がやられるでしょう。
その程度の溶解度ですね。
ウチにある蛍石レンズの代表はウルトラアクロマチック琢磨なんですが、怖ろしいことに第一面がでかい蛍石玉です。
おっかなくて触れません。

蛍石レンズの怖さは、1.やわらかく傷つきやすい、2.熱(体)膨張率が大きく、張り合わせだとバルサムが切れる、3.機械的衝撃に脆く、カシメができない によるのでしょう。

syoushowsyoushow 2009/11/09 06:47 >その程度の溶解度ですね。
ですよね~。
難溶だけど不溶じゃないって微妙な線が「もしかして?」と思ってしまうところかも。

脱線しますが、F入り排水の処理といえば蛍石化沈降↓なんですが、この微妙な溶解度のせいで単純には
落としきれないのが悩みの種/ノウハウなんだとか。でも小細工しすぎるとリサイクルに支障が出たり
、、、(難;。

ゲスト



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